脳血管性認知症

病因
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害で認知症を生じたものです。

症状
脳血管性認知症の特徴としては、脳血管障害に伴う神経症状を伴うことが多いことです。たとえば軽い麻痺、歩行障害、「ろれつが回りにくい」(構音障害)、食事で「むせ込みやすい」(嚥下障害)、頻尿・失禁などの神経症状が合併しています。また診察上、軽度の麻痺、パーキンソン症状、錐体路兆候などが認められます。また脳血管障害が原因になっているので、急速に症状が出現あるいは悪化する特徴があります。一般的に進行は「階段状」、つまり急速に悪化、しばらく安定あるいは軽度改善、再び悪化、という階段を上るように進行します。

診断
画像診断で脳血管障害を示す所見が確認できることが必要です。特にそれらの血管障害を見いだすにはMRIの感度が高く有用です。しかし、高齢者では無症候性(症状を出さない)脳血管障害を合併することが多く、MRI等で脳血管障害があるから脳血管性認知症とは限りません。アルツハイマー病などの認知症を起こす疾患に、脳血管障害を合併すると症状が急速に悪化することがあり、アルツハイマー病と脳血管障害の合併によると考えられる認知症も多く存在します。このような認知症は混合性認知症と呼ばれます。

治療
脳血管障害を治療する必要があります。再発予防、危険因子(高血圧や糖尿病、肥満など)の治療が必要です。加えて周辺症状(BPSD)への対応が必要な場合があります(アルツハイマー病の治療参照)。